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イタリア各地の魅力をお届けする連載企画。留学体験記やイタリアンレシピ、イタリアンワインなど。

イタリアで夢をかたちに・・・

 決意

 私がFirenze行きを決めたのは、昨年のはじめのことでした。仕事に必要な「技術を学ぶ」ことを目的として―。

 私の仕事は「アクセサリーの制作」です。アクセサリーづくりをはじめたのは学生時代、かれこれ十年以上前(!)の話です。

 初めはビーズのアクセサリーをつくっていました。当時はもちろん趣味の域だったのですが、とにかくその頃からつくることが楽しくてしかたなかったです。 色とりどりに輝くたくさんのビーズを眺め、自分で組み合わせを考え、それを実際に形にしていく・・・そうしてつくり上げたものは、自分で身に着けたり、友達にプレゼントしたりしていました。就職してからも、しばらくはそうやって楽しみながら趣味としての物づくりを続けていました。でも、どんどん熱が入ってしまい、本格的にアクセサリーづくりを仕事にしようと思うようになり、シルバーアクセサリーをつくる勉強をして、気がつけばそれが仕事になっていました。忙しいながらも毎日自分の好きな物をつくりながら過ごす日々は、大変楽しい時間でした。

 でも、そうやって過ごしているうちに、「もっと自分の技術を磨きたい」という想いが日増しに強くなっていったのです・・・そこで随分悩みましたが、さらなる技術の向上を目指して、以前から憧れていたイタリア留学を決意しました!「どうせ勉強するなら本場が良い!」と、ごくシンプルな考えのもと、金銀細工で有名なFirenzeを留学先に決めました!

 計画

 そうはいっても、現地に行けば当然授業はイタリア語!英語もろくにわからない私。あっ、でも大丈夫!こんなこともあろうかと、イタリア語は秘かに勉強してたもん!!!・・・なんて、そんなことあるはずもなく(泣)、慌てて日本イタリア会館のイタリア語講座を受講し始めました。出発までは約8ヶ月。よし、これだけ時間があれば、しっかり勉強ができる!ジュエリー学校でのイタリア語の授業も大丈夫!・・・のはずだったのですが、とにかく仕事が忙しく、結局、講座にもあまり行くことができずに時間ばかりがいたずらに過ぎていきました。

 そろそろ本格的に留学計画を立てなければいけない時期にさしかかった頃、会館の方に不安な気持ちを伝えると、とても親切にいろいろとアドバイスを下さりました。 そこで、まず留学期間を二回に分けることに決めました!言葉が不十分なまま、いきなりジュエリー学校に入学しても、せっかくの授業が理解できないのでは意味がありませんから、まずはじめは、2ヶ月間語学学校に通ってイタリア語の勉強だけに集中することに決めました。そして、ジュエリー学校もFirenzeにはたくさんあるので、現地で語学学校に通いながら、空いた時間に学校を見学(あらかじめ日本でいくつかの学校を下調べして行きました)して自分にあった雰囲気のところを探し、入学手続きをしていったん日本に帰国。そして、ビザを取った後、再びITALIAに戻り、今度は本格的にジュエリーの勉強に専念する、という計画を立てました。

 語学学校

 到着翌日から語学学校のスタートでした。私が通っていたのは、サンタ・マリア・ノヴェッラ駅からすぐのところにあるLINGUAVIVAです。クラスは初日に行われたテストによって振り分けられ、自分のレベルにあった授業を受けられるようになっていました。私はもちろん一番初級のクラスからスタート。授業は英語を混ぜながらのイタリア語で行われました。 イタリア語を充分に勉強せずに渡伊した私は、初めは授業についていけるかどうか不安でしたが、担任の先生は私がわからない顔をしていると、何度もわかるまで説明を繰り返してくれました。

 また、LINGUAVIVAは希望すれば誰でも参加できる課外授業も充実。せっかくだからと私もいくつか参加しました。その中でも特に印象的で大変楽しかったのは、ワインの産地で有名なCHIANTI(キャンティ)へのバス旅行です。トスカーナ地方ならではののどかな風景に囲まれた広大な敷地内にあるワイナリー。中に入ると、薄暗いいくつもの部屋に大小の無数の樽が並んでいました。日本にいるときはほとんどアルコールを口にしない私でしたが、ワイナリーで試飲したワインは大変美味しく、イタリアンワインの味にとても感動しました。そして、普段は学校でだけしか顔を合わせたことのないクラスメイトたちとも、お酒を囲んでお互いの国のことをいろいろ話しできた事で、とても打ち解けることができました。それからは、わからないところを教えあったりと、クラスにまとまりがでてより勉強にも力が入りました。そうして過ごしている間に、外国語への苦手意識も気がつけば楽しいと感じるまでになっていました。

 ジュエリー学校

 そんな少しイタリア語に慣れてきた頃、語学学校が終わったあとの時間を利用して、ジュエリー学校の見学を始めました。アルノ川の周辺にはいくつかのジュエリー学校があり、それぞれ学校の方にお願いすると、授業風景や学校内の施設などを見せてもらうことができました。また、実際に通っている人達の話を聞いたり、作品を見せてもらったりもしました。

 最終的に私が選んだ学校は、アルノ川の川向こうにあるSanto Spirito教会の近くにあるMetallo Nobileという学校です。この学校はいくつかのコースが選べるようになっており、自分にあったカリキュラムや受講期間を選べます。また、一人一人に専用の作業スペースを用意してくれるという点も気に入りました。さらに、スタッフに日本の方がいて、日本でのビザ申請手続きに必要な"通学証明書"や"保険加入"についてどうすればよいかを親切に教えてくれました。私は1年間の滞在に備えるために、"RAS"という保険に加入しました。郵便局でも保険に加入できるらしかったのですが、このRASは60ユーロ/年で加入ができ、大変リーズナブルです。学校の入学証明書を持っていくとすぐに手続きしてくれました。

 これから

 現在は一時帰国をし、ビザがおりるのを待ちながら日本イタリア会館のプライベートレッスンを受講し、次の渡伊にむけての準備をしています。今回、現地でジュエリー学校の入学手続きと保険に加入して帰ったことで、ビザの申請はスムーズに行うことができました。ちなみに受領までは約2週間ほどかかりました。

 この2ヵ月半のイタリア滞在で、語学に対しての苦手意識をなくすことができたこと、いろいろな国の友達や現地の人々との素晴らしい出会いがあったこと、そして実際に通う学校を自分の目で見て選べたことが、とても良かったと思います。そして次の留学では、自分の目標に向けて精一杯頑張ろうと思います。また、私の時と同じように、困ったり悩んだりしている人に出会ったら、その時は少しでも力になりたいと思います。そんな風に感じさせてくれた今回のイタリア留学。学ぶことは言葉だけじゃ決してない―。